かつて血の穢れを避けて産婦が七日七夜籠もったという貴重な民俗資料・大原の産屋

大原の産屋

大原の産屋は、京都府福知山市に鎮座する大原神社に付属する建物で、その昔産気づいた婦人がここで七日七夜を過ごし出産をした特別な場所といいます。女性の生理や出産に伴う出血は穢れとされていたため、ここで忌み籠もりをしたもので、天地根元造と呼ばれるめずらしい様式の建物は、現在では京都府有形民俗文化財に指定されています。

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大原の産屋のアクセス方法と駐車場

場所 京都府福知山市三和町大原
電話番号 0773-58-4324(大原神社)

大原神社は福知山市にありますが、JR山陰本線福知山線および京都丹後鉄道の宮福線の福知山駅がある中心市街地とはかなり離れています。

公共交通機関を使うのであれば、JR山陰本線の綾部駅で降りて、市営バス(川合大原線)に乗り換えて20分、大原バス停で下車して徒歩3分ほどとなります。なお、市営バスは日曜日、祝日は運休です。

マイカーまたはレンタカーでアクセスする場合、舞鶴若狭自動車道の福知山インターチェンジから車で20分、途中は国道9号から府道市島和知線、さらに国道173号を経由します。
国道173号沿いにはうぶやの里ロードパークがあります。休憩できる東屋がある程度の簡単な施設ですが、ここに無料で駐車して地下道を通り、川井川沿いの散策路を進むとまるで竪穴式住居のような建物が見えてきます。これが大原の産屋です。

大原の産屋のいわれ

大原の産屋の前には福知山市教育委員会が建てた次のような案内が書かれています。

大原の産屋
京都府指定有形民俗文化財

この産屋と親しく呼ばれる建物は、大原神社の対岸にあり、 茅葺、切妻屋根、それをそのまま地面に伏せたような天地根元造という、古い建築形式で造られています。屋根の合わさる「妻」の方向から出入りします。古くは古事記・日本書 紀にも著されており、日本の産育の習俗として古くより使われていました。
大原では、出産の折、十二把のワラ(閏年は十三把)を持ち込み、出入口に魔除けとして古鎌を吊り、七日籠って出産していました。この習俗は大正年間まで続き、また産後三日三夜龍もる(一日一夜と変遷するも)習慣は、昭和23年ごろまで続いていました。
現在は利用されなくなりましたが、産後に身体を休めた安息の場所であろうこの産屋を、地元の方々は大切に守っています。
全国に残る数少ない産育習俗を伝える文化財として、また安産の神、大原神社の信仰の源として今の多くの人々に愛されています。

福知山市教育委員会

大原の産屋の内部

大原の産屋は天地根元造という切妻屋根をそのまま地面に伏せたような特殊な様式で、そのなかに入ると中央には力綱が天井からぶらさがっており、このツナを持って座ったまま、いわゆる座産の体勢で出産をし、取り上げ婆さんとよばれる産婆の役割を果たした女性が介添えをしたといいます。

また後産は産屋の隅にある埋場にそのまま埋めておくと、大原神社の神使である狼がやってきて食べてしまうので、あとかたもなくなってしまうという言い伝えもあります。