桜と紅葉の名所で木曽の清水寺といわれる懸造が見事な岩出観音

岩出観音

岩出観音は長野県木曽郡大桑村須原にある観音堂で、「木曽の清水寺」とも呼ばれる懸造の姿が見事です。良馬の産地として知られる木曽谷らしく馬頭観音をお祀りしており、現在のものは江戸時代中期に建てられたといいます。渓斎英泉の木曽街道六十九次「伊奈川橋遠景」にも描かれており、毎年初観音(1月)と初午(2月)には盛大に法要が行われます。

岩出観音へのアクセス方法

岩出観音はかつての中山道の宿場町で、現在も格子戸のある建物が密集する須原宿の付近にあります。JR中央本線の大桑駅が最寄り駅ですが、何分にも山のなかにあるため、徒歩で25分ほどかかります。場所もそれほどわかりやすくはありませんが、道路沿いに案内看板が立っていますのでそれを目印に進むとよいでしょう。

マイカーやレンタカーでのアクセス方法としては、中央自動車道の中津川インターチェンジで降りて、国道19号を北上し、大桑村まで来たところで「岩出観音」の道路標識に沿って右折して、あとは要所要所にある看板にしたがって車を走らせます。中津川インターチェンジからは約40分ほとの道のりです。

注意したいこととして、岩出観音の周囲には自治会の駐車場やマンションの駐車場など、地元の人が日常使っている駐車場はあるものの、観光客向けにはまともな駐車場が用意されていないことです。道路の路肩などに多少駐車できそうなところはありますが、長時間駐車すれば間違いなく交通の支障になりますし、現に注意を呼びかける張り紙などもあります。

懸造の岩出観音

懸造は京都の清水寺にあるような、崖地の上に柱を建てて建物を張り出すように建築した独特な様式です。全国的にもそれほど類例が多いわけではなく、清水寺のほかには、たとえば四方懸造りという千葉県の笠森観音、鳥取県の三仏寺投入堂、島根県の鰐淵寺蔵王堂、山形県の山寺(立石寺)五大堂、石川県の那谷寺本堂、長野県の布引観音、滋賀県の石山寺本堂、奈良県の東大寺二月堂、広島県の千光寺本堂、佐賀県の祐徳稲荷神社などが知られています。

岩出観音の舞台には、直下の道路の坂道をすこし登った先にある横道から、階段で登ることができます。春は佐倉、秋は紅葉がきれいな場所で、高くを流れる川の風景とあいまって、より美しさが際立ちます。

岩出観音の由来と伝説

岩出観音にまつわる伝説やその由来は現地の案内板に次の通り書かれています。

岩出観音
泰仏 馬頭観世音菩薩
別名を伊奈川観音又は橋場観音といい、口伝によると三百余年前須原の一老父が馬の沓を作り商いをしていた。
或日一人の威厳ある馬上の侍が馬の沓を求めたが折り悪く片足分しかなかったのでその旨を伝え、不足分を早速作り後から追いかけて現在の橋場の入口付近で渡した。侍は喜んで代金を渡そうとしたが老父はその侍の尊容に打たれて代金を辞退したところ傍らにあった木片を取らせ馬上で「馬頭観世音」と書いて渡し「必ずこれを信仰せよ、御利益があるであらう」と云って立ち去ったと云う、俗にこれをコッパ観音とも云う。老父はそれを家に持ち帰り神棚に安置したところ光明を放つたので、恐れを抱いて橋場の岩出山の岩間に祀ったところ一層赫々と光明を放つたので、忽近郷近在の評判となり来拝するものが多くなったので、近隣の助力を得て、この木片に観世音菩薩と刻み京都まで出掛けて妙心寺の名僧愚堂国師の開眼を受けて持ち帰り、一宇を建立して、奉安したところ信仰する者多く、 縁日 (一月十七日、一月の初午)には遠くから大勢御詣りに来られる様になった様です。
毎年一月十七日初観音縁日、二月の初午縁日は午前十時半より法要を行っております。福ダルマ、お守り、お札の頒布も行います。
大桑村須原定勝寺
平成十四年一月十七日
掲示板寄贈柳橋政明氏

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