東京赤坂の日枝神社の本社・重要文化財の仙波日枝神社

仙波日枝神社

仙波日枝神社は埼玉県川越市、天海僧正がかつて住持をつとめていたことでも知られる川越喜多院の門前にあります。天長7年(830年)に慈覚大師円仁が喜多院を創建たおりに、鎮守として貞観2年(860年)に近江坂本にあった日吉大社を勧請したものであるといわれています。東京赤坂にある日枝神社の本社の位置付けにあり、本殿は国重要文化財です。

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仙波日枝神社の御祭神と御利益

仙波日枝神社はもとは喜多院の境内にありましたが、県道拡幅事業のために移転し、喜多院とは道路をはさんでちょうど反対側にあたる仙波古墳群の場所に鎮座しています。御祭神は比叡山の日吉大社と同じく大山咋神(オオヤマクイノカミ)と大己貴命(オオクニヌシ)ですので、家内安全や産業振興などのご利益があります。東京赤坂の日枝神社も、文明10年(1478年)に太田道灌が江戸城築城の際にこの神社を分祀したものであるため、同様のご利益があります。

仙波日枝神社のアクセス・駐車場

所在地

埼玉県川越市小仙波町1-4-1

駐車場(明星駐車場を利用)

駐車場がないので付近の喜多院・明星駐車場を利用します。
駐車台数 133台
駐車料金 土日祝日は3時間まで500円、平日は1時間200円(以降1時間ごとに100円加算)
営業時間 12/1~3/17 9:00~16:30、3/18~11/30 9:00~17:00

仙波日枝神社にアクセスする場合、徒歩であれば東武東上線・JR川越線の川越駅を下車して約20分程度、西武新宿線の本川越駅下車であれば約15分ほどで着きます。いずれも喜多院への案内標識などを目印にして進むとよいでしょう。
マイカーの場合は関越自動車道の川越インターチェンジを降りて国道16号へ向かい、小仙波交差点で左折してトータル20分ほどで到着できます。日枝神社そのものには駐車場がありませんが、喜多院の目の前のため、喜多院の明星駐車場を利用することが可能です。ただし、無料ではなく有料の駐車場ですので、周辺観光(蔵造りや喜多院、川越八幡宮など)とあわせて利用して効率化するのがよいでしょう。

日枝神社の御朱印対応

日枝神社には常時神職が詰めているわけではありません。御朱印は賽銭箱の脇に日付が空欄になった書き置きの形式で用意されていますので、初穂料200円を賽銭箱に入れて御朱印をいただきます。もしも神職に用向きがある場合には、川越市南通町19-1の川越八幡神社社務所に問い合わせが必要です。

日枝神社の文化財と歴史

社頭に次のように案内があります。

日枝神社本殿付宮殿一棟
(国指定重要文化財 建造物)

日枝神社は、慈覚大師円仁が無量寿寺(中院・喜多院)を中興する際に、近江国坂本(滋賀県大津市)の日吉社(日吉大社)を勧請したといいます。
本殿は朱塗の三間社流造で、銅板葺の屋根に千木、堅魚木を飾ります。三間社としては規模が小さく、架構も簡素です。
身舎の組物は出三斗ですが、背面中央の柱二本は頭貫の上まで延び、組物は大斗肘木になっています。中備は置きません。妻飾は虹梁大瓶束であっさりとしています。縁を正面だけにもうけ、側面と背面にはまわさず、正面縁の両端のおさまりは縁板を切り落としただけの中途半端なもので、高欄や脇障子をもうけないため簡易な建築に見えます。庇は切面取の角柱を虹梁型頭貫でつないで両端に木鼻を付け、連三斗・出三斗を組んで中央間だけに中備蟇股を飾ります。ただし、この蟇股は弘化四年(一八四七)頃、修理工事の折に追加されたものといいます。身舎と底のつなぎは、両端通りに繋虹梁を架け、中の二通りに手挟を置きます。
本殿の建立年代について、それを明確にする史料はありませんが、構造の主要部分は近世初頭の技法によりながら、装飾意匠の一部に室町時代末期頃の様式をとどめ、また、中央の保守的伝統的な技法によらない地方的な技法も見うけられます。虹梁に絵様をほどこさず袖切・弓眉だけとする点、庇木鼻の形状と正円に近い渦の絵様、実肘木の絵様、手挟のおおまかな形、などは室町末期の様式です。また、正面の縁のおさまり、大棟上に飾棟木をもうけず直接千木・堅魚木を載せる点、背面の組物だけを大斗肘木とする点、組物の枠肘木と実肘木が同じ断面寸法でかつ背と幅が同一な点、巻斗の配置が六支掛の垂木配置と関係なく決定されている点、などは地方的技法といえます。とくに枠肘木・実肘木の断面寸法、垂木割にかかわらない巻斗の配置は珍しく、幕府作事方に収斂される中央の木割法とは異なる設計システムが存在したことを推測させます。喜多院は慶長十七年(一六一二)頃に再興されており、日枝神社本殿もその一環として造営された可能性もありますが、それ以前に地方工匠の手によって建造された可能性も残されています。
昭和二十一年十一月二十九日指定 川越市教育委員会