鷲子山上神社

神社
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鷲子山上神社は、社地が栃木県と茨城県にまたがる全国的にも珍しい神社です。大同2年(807)に創建されたといい、御祭神は天日鷲命で、製紙の祖神にあたります。中世には源頼朝から修理料を賜っているほか、常陸源氏の佐竹氏の一族が別当職に就いて祭祀を行い、近世には徳川家光から20石の朱印地を寄進されています。この神社の神使はフクロウであるといい、境内には金色の「日本一の大フクロウ」が奉納され、特に最近は宝くじの高額当選の御利益で人気を集めています。

旅行先の地図

旅行先の概要

御祭神 主祭神:天日鷲命、相殿神:大己貴命・少彦名命
所在地 栃木県那須郡那珂川町矢又1948、
茨城県常陸大宮市鷲子3627
交通 常磐自動車道「那珂IC」から車で約60分
拝観料 無料
駐車場 椿茶屋の南側(砕石敷)、鷲子山上神社本宮の西側(舗装済)、浅間神社の先(砕石敷、社務所から250メートル北)にそれぞれ無料の参拝者用駐車場あり(約100台)
URL
連絡先 鷲子山上神社社務所(栃木県側)0287-92-2571

歴史・由来

鷲子山上神社(とりのこさんしょうじんじゃ、とりのこさんじょうじんじゃ)は、社地が栃木県那須郡と茨城県那珂郡とにまたがる全国的にも珍しい神社で、参道の石段前には県境を示す標識が設置されています。

社殿によれば、大同2年(807)10月、宝珠上人が阿波国(徳島県)から忌部氏の祖神であり製糸業の神でもある天日鷲命を勧請したのがはじまりで、後に天長5年(828)に大己貴命と少彦名命を相殿神として祀ったとされ、当時は朝日嶽に鎮座し「鷲権現」と呼ばれていたとのことです。

建久3年(1197)には源頼朝が社殿を造営し、宮殿修理料として15貫文を下賜しており、鎌倉3代将軍の源実朝もこれに倣うなど、中世には武家の崇敬を集めていました。

『佐竹氏族譜』によれば、南北朝時代の明徳3年(1392)、佐竹一族で常陸国(茨城県)長倉城主の長倉興義が出家剃髪して鷲子山別当になったといい、これを初代として、以後も本山派修験寺院の伍智院が別当職を受け継ぎ、明治維新に際して神官に復しています。

神社に残る最古の棟札では、天文21年(1552)に常陸国の領主・江戸通有と下野国の領主・武茂守綱とが共同で火災に遭った本殿を再興しており、このときに朝日嶽から現在地の鷲子山頂に遷座しています。

近世に入ると、慶安元年(1648)に江戸幕府3代将軍・徳川家光が常陸国鷲子村(茨城県常陸大宮市)・下野国矢又村(栃木県那須郡那珂川町)からそれぞれ高10石、計20石の朱印地を寄進しているほか、水戸藩2代藩主・徳川光圀は巡国の際に境内の名勝地などを「山中十景」「七奇名勝」として選定し、後に9代藩主・徳川斉昭が家臣の青山延寿に命じてその石碑を随神門脇に建てさせています。

鷲子山上神社の三間社流造の本殿は、江戸時代の天明8年(1778)に建て替えられたもので、牡丹に唐獅子などの彫刻に富み、文化12年(1815)再建の入母屋造の楼門(安養閣)とあわせて茨城・栃木両県の重要文化財に指定されています。

また、鷲子山上神社の神使は「不苦労」に通じるフクロウとされ、境内には金色の「日本一の大フクロウ」の彫刻が奉納されているほか、最近では像の真下の「金運不苦労御柱」に触れて宝くじの高額当選の御利益があったとマスコミで紹介されたことから、パワースポットとしても参詣者に人気です。

毎年11月の第3土曜日には伝統の「夜祭り」が催行されており、境内の三本杉社の前で御幣を立て餅を献じるとともに、この祭礼の参列者も白酒や餅、小豆を食するという、いわゆる「神人共食」の風習を残す、民俗学的にも貴重なものとなっています。

車椅子で旅行するポイント

※ 鷲子山上神社の境内はほとんどが傾斜地のため、参拝できる範囲は極端に限られます。次の説明分及び写真を参照してください。

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【1】国道からの鷲子山上神社入口(茨城県側)。看板に従い右折。なお栃木県側は道幅狭く出口専用で利用されている。

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【2】道路突き当たりの椿茶屋から鳥居方向を望む。境内で道幅が多少広く平坦なのはこの付近のみ。

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【3】正面参道は石段で右手に砕石を敷いた迂回路があり、随神門横・六地蔵下を通り山頂の鹿島社に続く。ただし坂道で車椅子はほぼ困難。

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【4】正面鳥居と栃木県側社務所に挟まれた道路を進むと伍智院や黄門道路の方面に出る。舗装されてはいるが坂道となっている。

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【5】【4】の坂道の先に多目的トイレを併設したトイレ棟と数台程度の駐車スペースがある。

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【6】椿茶屋を左折してすぐ本宮や日本一の大フクロウへ向かう参道があるが石段のため車椅子は不可。

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【7】さらに先には舗装された駐車場があるがこの付近も坂道となっている。



鷲子山上神社境内図

境内配置図 [凡例]
鷲子山上神社本殿 大黒社 羽黒社 三社:風神・雷神・古峯神社を祀る。 三本杉社:夜祭りの御幣を納める社。 千年杉 随神門 六地蔵:廃仏毀釈で埋納されていたもの。 奥山稲荷:伏見稲荷を勧請。 小祠:奥から疱瘡神・竈神・田の神の社。 寒椿の森 鹿島社:国土地理院地図の鷲子山頂にあたる社。 天狗の足あと:天狗が駆け上がった跡というウロがある大木。 亀井戸 黄門道路:水戸黄門が歩いたとされる山道。 伍智院:聖護院末の別当寺。黄門様ご休憩の間(拝観要予約)がある。 茨城県側社務所 栃木県側社務所 椿茶屋 日本一の大フクロウ 本宮神社:旧鎮座地の朝日嶽にあたる。 光丸山神社 天満宮 遊歩道 浅間神社 茨城県側入口 栃木県側出口 国道294号 栃木県道232号矢又大内線 大那地 馬頭市街 美和市街 道の駅みわ


移動のしやすさ ★★★☆☆
バリアフリーの状況 鷲子山上神社は境内に至る途中の道幅も狭く、境内も傾斜地ばかりで平坦地は本宮石段下から社務所前までの50メートル程度の区間に限られる。身障者トイレは栃木県側社務所の先にあり、トイレ脇に数台の駐車スペースもあるが、ここも坂道を下った場所にあたる。他の駐車場もやはり坂道の途中にあり、駐車場で降車して車椅子に移乗したとしても、そこから社務所前まで移動するのは容易ではない。そのため実際のところは本宮石段下あたりで降車して社務所から鳥居付近までを散策する程度となる。ただし交通混雑の際には狭い境内で降車自体が難しくなるおそれもあるので注意したい。

周辺の名所・観光スポット

道の駅みわ(みわ★ふるさと館 北斗星)

道の駅「みわ★ふるさと館 北斗星」は、地元の美和地区で採れたしいたけや葉物野菜などの特産品を即売するスペース「しんせんファクトリー」や常陸秋そばを提供するレストラン「北斗庵」、そば打ち体験ができる「おもしろ工房」、4年に一度だけ執り行われる鷲子山上神社夏例大祭(鷲子祇園祭)の屋台を格納する「おまつり館」などからなる複合施設です。山間部にある美しい星空が自慢のこの地区の特徴を踏まえ、館内では星にちなんだグッズが販売され、トイレの天井には星空が描かれています。
【身障者用駐車場・トイレ・スロープあり】

■参考リンク:みわ★ふるさと館 北斗星 (道の駅みわ) 公式サイト